本日の「第8回 非正規雇用のビジョンに関する懇談会」
本日、10時30分から、第8回「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」が厚生労働省 省議室(千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館9階)にて開催された。第1回が2011年6月23日から開催されて10ヵ月、本日の第8回が最終日となった。
第8回「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」の様子。 写真中央が座長の樋口美雄慶氏(慶應義塾大学商学部長)。
本日の議事は、「望ましい働き方ビジョン」(案)の検討。
数々の意見が出され、それを反映させた上で取りまとめられることになった。
同懇談会が設置された目的には、
非正規労働者の呼称や態様を問わず、広く「非正規雇用」を対象として、非正規労働者の雇用の安定や処遇の改善の観点から、公正な待遇の確保に必要な施策の方向性を理念として示す「非正規雇用ビジョン」(仮称)を策定するため――がある。
前回(2012年3月24日)には、「ビジョン骨子案の検討」が行われた。
そのなかで、
・非正規雇用の概念を整理すべき
・非正規雇用だから解雇してもいい、賃金が低くてもいいわけではないこと
・非正規雇用は、本来ある権利も行使できないことがあること
・マクロ的(日本の社会全体)な視野も盛り込むこと
――などの意見・要望があり、
3月9日には、民主党への説明も行われている。
本日の「望ましい働き方ビジョン」(案)では、
「非正規雇用」とは何か――について
① 労働契約の期間の定めはない
② 所定労働時間がフルタイムである。
③ 直接雇用である(労働者派遣のような間接雇用ではない)。
――のいずれも満たすものを原則として「正規雇用」とし、それ以外の様々な雇用形態を
便宜上「非正規雇用」としている。
非正規雇用一般についての問題点や課題については、
① 雇用が不安定である
② 経済的自立が困難である
③ 職業キャリアの形成が十分でない
④ セーフティネットが十分に整備されていない
⑤ ワークルールの適用が十分に進んでおらず、労働者の声も届きにくい
――などが盛り込まれた。
また、その一方で、正規雇用についても、雇用は安定している反面、拘束的な働き方であり、仕事と生活の調和を図ることが難しい問題があるとしている。
非正規雇用に関する施策の具体的な方向性としては、
① 若者に雇用の場を確保する。
② 正規雇用・無期雇用への転換を促進する。
労働契約のルールを整備することにより、有期労働契約の無期労働契約への転換を促し、雇用の安定を確保する取組が重要。
(現在国会に提出されている労働契約法の改正を踏まえて、所要の措置を講じていく必要があるとされた。)
③ 雇用形態に中立的な税・社会保障制度を構築する。
非正規雇用を雇用する方が、企業の労務費などの負担が軽減されるような税・社会保障制度などの公的制度は、解消を図る必要がある。例えば、企業が短時間労働者を選好する大きな要因となっている厚生年金や健康保険の適用に当たっての労働時間の要件(通常の就労者の概ね4分の3以上)などについては、その在り方を早急に見直すべきである。この点、「社会保障・税一体改革大綱」を受け、2016年4月から一定の要件を満たす週20時間以上の短時間労働者まで適用範囲を拡大することとされている。
④ 働き方に応じた公正な処遇を確保し、不合理な格差を解消する。
⑤ 正規・非正規間の均等・均衡待遇を効果的に促進する。
⑥ 非正規雇用で働く労働者の職業キャリアの形成を支える。
⑦ 非正規雇用の労働者に対する雇用のセーフティネットを強化する。
――が示された。
「望ましい働き方ビジョン」
~非正規雇用問題に総合的に対応し、労働者が希望する社会全体にとって望ましい働き方を実現する~
――については、本日の検討結果を反映させて、近日中に発表される見通し。
厚生労働省では、「ビジョン」を広く周知徹底させ、施策・政策の参考とする方針だ。
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