「多様な形態による正社員」に関する研究会が報告書公表
厚生労働省に昨年3月から設置されていた「「多様な形態による正社員」に関する研究会」(座長:佐藤博樹 東京大学大学院情報学環教授)が報告書を3月28日に取りまとめました。
「一人ひとりの労働者が満足できる働き方」としての活用に向けて」と副題が付けられた同報告書では、そのポイントを以下のようにあげています。
【多様な形態による正社員に関する研究会報告書のポイント】
1.検討の背景・方向性○ いわゆる正社員と同様に無期労働契約でありながら、職種、勤務地、労働時間等が限定的な「多様な形態による正社員」の導入は、非正社員にとって正社員転換の機会を拡大する可能性。正社員にとってもワーク・ライフ・バランスの実現の一つの手段(※)となりうる。
※ 長時間労働の削減等いわゆる正社員の働き方全体の見直しが前提。○ このため、労使双方の実態を踏まえた創意工夫ある取組を通じて、 多様な形態による正社員が「一人ひとりの労働者が満足できる働き方」として活用されるよう、環境整備を進めていくことが求められる。
* 「望ましい働き方ビジョン」(注)でも、正規雇用化を進めるに当たって、雇用の安定と典型的な正規雇用との処遇の均等・均衡を前提条件とした上での「多様な形態による正社員」に注目。
2.多様な形態による正社員の活用に当たっての留意事項等
<非正社員からのステップアップ>
非正社員から正社員へのステップアップのために活用。
(安定した雇用の下、職業能力の向上を図り、希望に応じた働き方を実現できる形態として活用。)<正社員区分間の転換>
相互転換しやすい柔軟な仕組みとすることが重要。
(特定の正社員区分への固定化の防止、正社員として子育てしながら働き続ける等ワーク・ライフ・バランスの観点)<男女間のバランス>
実質的な男女差別を生じさせないよう留意。
(男女問わず、個々のニーズに合った働き方を選択できる仕組みとなるよう工夫)<処遇や能力開発機会等の均等・均衡>
労使の協議を踏まえ、働き方に応じていわゆる正社員との均等・均衡を考慮。
(転居・転勤の範囲に応じた賃金制度・水準とする等)<事業所閉鎖時等の対応>
いわゆる正社員に関する取組と均衡が図られるよう最大限努力。<従業員尊重のアプローチ>
労使の話合いや従業員への十分な説明などの取組が重要。
この報告書は、同日公表された、「望ましい働き方ビジョン」と合わせて、これからの労働政策の方向性を占う指標になるものです。多様性を認め合いながら、労働者一人ひとりが満足のできる職場を作っていくためには、さらなる労働関係の法整備が必要になりますので、その動きを注視していきたいですね。
詳細はこちらからご覧ください。
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